栄養士からのお話

プロバイオティクス

前回のお話に何点か質問があったので補足説明します。

(1)プロバイオティクスとは

病気を予防する
プロバイオティクスについて、もう少し詳しくお話ししましょう。
プロバイオティクスとは、消化管内の細菌叢を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質。
つまり、プロバイオティクス機能を持つ微生物を摂取すると、それが消化管内(口腔内や腸内)の細菌叢の健常化をはかりながら、疾病の予防、改善を行うというものです。
抗生物質との違い
抗生物質は、病原菌に対して即効性があるが、副作用などがある。
これは、殺虫剤のようなもので、害虫と共に作物や土壌にも悪影響をもたらす。
これに対し、プロバイオティクスは作用は穏やかですが、環境(体)への害はほとんどないと言えます。
また、感染症の予防に用いられるワクチンは、体内に吸収されて内部で働くため、副作用がおきた場合は体に与えるダメージは大きい。
これに対し、プロバイオティクスは消化管腔内、つまり体の表面が活躍の場なので、安全性が非常に高いと言えます。

(2)乳酸菌LS1の研究結果

日本プロバイオティクス学会 理事長 古賀 泰裕さんがこんな実験結果を発表しました。
人ボランティア57名の協力を得て、8週間の間乳酸菌LS1を含む銘菓を、1回5粒、1日5回服用してもらい(1日で乳酸菌LS1を1億個摂取)服用前と服用4週間後・服用8週間後に検査を行いました。
その結果、口腔内の総菌数には特に変化は見られませんでしたが、歯周病菌に対しては服用前にあった数より、20分の1に減少していました。
また、人ボランティア57名のうち、実験開始時にハリメータ(口臭測定装置)による口臭測定で「口臭あり」と判定された20名のうち、服用8週間後に約3分の2に口臭の消失が確認されました。
また、服用8週間後に依然として「口臭あり」とされた人についても、明らかな口臭の減少が認められました。
虫歯菌については、変化はありませんでした。

口腔内の乳酸菌は増加しない
乳酸菌の作る乳酸によって口中が酸性に傾くと、虫歯が出来やすくなるのでは??と思うかもしれませんが、毎日1億個もの乳酸菌LS1を服用しても、服用前と総菌数に変化は見られませんでした。
これは、乳酸菌LS1が乳酸に対して耐性を持たず、口腔内である程度機能すると、自分が生産した乳酸によって死滅してしまうと推察できます。
また、唾液のpH値を測定したところ、服用前に「やや酸性」だった人は「中性」に移行し、また「アルカリ性」に傾いていた人も中性に戻りました。
これらの結果から乳酸菌LS1の摂取により口中が酸性化し、かえって虫歯が出来やすくなるというのは否定することができます。
つまり、乳酸菌LS1は、歯周病菌や虫歯菌の活動を抑制することで、口臭・歯周病・虫歯の予防にいい!ということなのです。(前回の補足にしては、長すぎましたね…。)